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ショックサービス

KINGショックのオーバーホール作業をご依頼頂きました。OEMショックのリアでホースリモートにコンプレッションアジャスター付きのモデルです。

ショックが抜けている気がするとのご相談でしたのでまずは現在の状態を把握するためにガス圧からチェックしてみます。

ガス抜けの原因としてはダストシールからオイルが漏れてガス圧が下がっている場合とリザーブタンク内のフロートピストンからオイル室にコンタミネーションしている場合が考えられます。もしくはシュレーダーバルブのパッキン不良でガスが漏れてしまっている場合もあります。オイル漏れであればシャフトにオイル漏れの痕跡があるので視認できますが後者のコンタミに関しては実際にショックを分解してみないと分かりません。


シリンダーからピストンシャフトを抜いてみたところクリーミーな泡立ちになっていました。加えてオイルがめちゃくちゃ汚いです。

リザーブタンクを分解した際のフロートピストンの位置も正常な位置では無かったのもこれなら頷けます。


下の写真の様にオイル室側のピストンの裏側はスラッジがこびり着いていました。左手のリング状のバンドがピストンウェアバンドという部品でPTFE(フッ素樹脂)加工を施したリング状の摩擦緩衝材です。このウェアバンドがショックシリンダー内を上下動するためこの様な黒いスラッジが発生します。これが油路に堆積したりシールリングの隙間に入り込むことでガスやオイル漏れの原因となるわけです。因みにリザーブのフロートピストンのウェアバンドとは異なります。

コンプレッションアジャスターやIBP(インターナルバイパスピストン)の様な機構がある場合は尚のことオイルはクリーンに保ちたいものです。

車種にもよりますがFJのOEMはメインシリンダーが2.5インチに対してリザーブタンクは2.0インチ径なので専用のシールキットが必要です。

コンプレッションアジャスターを分解してチェックボールやバルブボディを洗浄します。バルブピストンもシムスタックを交換すれば更にコンプレッションスピードを変更出来ます。

OEMのシムスタックです。コンプレッション側はフラッターセッティングです。FJやプラドはリジットのコイルだからフニャフニャ感をスタビで抑えないでシム調整でカッチリしてあげるのも良いかもしれませんね。上のレンコンみたいなのがショックピストンです。

ショックシャフトとピストン周りも洗浄してシールリング交換してリフレッシュされました。ウェアバンドも新品に交換して組み付けます。後は規定圧のガスを入れたら完成です。


本来のKINGショックの性能を十分に発揮するためにもオーバーホールは必要です。5年以上経過している人はオーバーホールをお勧めします。定期的にガス圧のチェックもすると良いでしょう。


ここでNOTEですが、FJや4RUNNER、PRADO等のSUVでリフトアップしてKINGショックを装着しているオーナの皆さん。リアの車高は何インチリフトしていますか?もし2インチ以上のリフトアップコイルを入れていてリアショックには適正な長さのショックを使用していますか?もしOEMのリアショックで2インチ以上のリフトアップをされている方は段差を乗り越える時にリアショックからゴツゴツ音やコツコツ感が気になるという方はがいたら是非参考にしてみてください。

リアショックのシャフトが何インチ露出しているかチェックしてみてください。出来たら寸法を測ってみてください。


もしタイヤが接地している状態(1G状態)でシリンダーから15cm以上シャフトが露出していたらショックが伸びた際にシールキャップにピストンが当たっている可能性があります。それだけではなくブッシングにも相当なストレスがかかっていることになります。これが続くとピストンに押されたシールキャップがシリンダークリップに噛み込んでしまう場合があり修理のために分解する際にシリンダー内部を傷つけてしまう可能性があります。北米の一部界隈で注意喚起していたので参考までにお知らせしました。一応ダンパーもついているのですが心配な方は確認してみてください。本当ならリミットストラップでストローク制御してあげるのが良いのですが。


異音や乗り心地に違和感を思い当たる方はメジャーで測ってみてください。リフトアップに目が行きがちなのも分かりますが適正なショックをチョイスしてあげましょう。今回はリバウンドベースの話ですが当然コンプレッション側にもこういうリスクが存在します。


KINGショックは高品質高性能なパーツだけに値段も高額です。我々販売サイドからしても本来の性能をきちんと発揮出来る様に適正なショックを提供出来るようにしたいです。


不安がある方はメールにてご相談ください。






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