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Maintenance: King Shocks




日本国内でも知名度の高くなってきたキングショック。APTCOでも取扱いを始めて気付けば13年もの歳月が経っておりました。最初の頃はまだショックの知識も全然浅くてちょうどキングからOEMシリーズがカタログラインナップされた頃だったのでお客さん達とボルトオンOEMにアッパーアームを付けて歓喜していたのを思い出します。懐かしついでに今から10年前の頃のAPTCOをご覧ください。



下手の横好きとはよく言ったもので長々と扱っているうちに色々知識も経験も身につくもので今ではオーダーメイドショックやバルブスタックからショックの内部機構までカスタムする始末です。いくつになっても本当に好きなモノへの情熱は冷めないモノなんですね。全てはこのF150から始まりましたとだけ言っておきましょう。Bilstein Black Hawk



ダイブ話が逸れてしまいしたが今日はキングショックのお話です。そうです、いくら天下のキングショック様でもノーメンテナンスと言う訳にはいかないのです。そんなキングショック様のメンテナンスについて本日はベリーライトに触れておこうかと思います。


今回頂いたオファーはショックからのオイル漏れが酷くなっているのでオーバーホールをお願いしたいとのことでした。


まずはガスを抜いて車体からショック本体を取り外します。この時にシュレッダーバルブからオイルが多少吹き出しました。写真のハウジングチューブが濡れてるのがオイルです。本来バルブの付いているセクションはガス室なのでここからオイルが出てくるのは問題アリということです。

車体から取外したショックは軽く洗浄して油分や汚れを落とします。洗浄が終わったらショック専用のバイスに固定してシリンダーからシャフトとピストンを分離します。下の写真がまさにシャフトをシリンダーから抜き出すところです。


続いてリザーバータンクも分解していきます。シュレッダーバルブの付いているキャップを外して中のフローティングピストン専用工具を使って抜き出します。この時ピストンの位置を計測しておかないといけません。ショックにはオイルボリュームとガス圧が定められているのでむやみに分解して誤った組付けをすると当然後で痛い目を見ます。

シリンダーやピストンを抜きだしたら消耗品と言われる部分を新しいモノに交換していきます。もちろんピストンウェアバンドも交換です。

ショックシャフトからピストン、バルブ、シールキャップを分離しています。今回はショックオイルの交換もするので内部パーツは全て洗浄する前提です。ピストンからシムをばらしていきます。今回はシム調整は無しなのでコンプレッションとリバウンドが分かるように分別しながら洗浄します。もちろんレンコン形状のピストンも洗浄します。

続いてシールキャップの分解とOリング等の交換です。見た目の割に構成部品が意外とあるんです。左が外したシール類で右が今から組付ける新品です。見てわかるように汚れていたり黄ばんだりしていますね。

ちなみにショックオイルの違いを比較してみましょう。左が今回抜き出したオイル、右が新油です。なんでこんなに黒くなるのでしょう?

この黒ずみの主たる原因はこちらのピストンウェアバンドの摩耗によるものです。ピストンもシリンダーも金属ですから金属同士が摩擦してはダメなのはお判りでしょう。ピストンの周りにぐるっと巻いてあるこのパーツがウェアバンドです。当然リザーブタンク側のフロートピストンにも巻いてあります。ただし材質は違います。ショックアブソーバだけに常に上下動を繰り返すセクションですので特殊な材質のモノを使用しています。興味のある方はRULON COMPOSITEを調べてみてください。

シールやら諸々の交換を終えたら元どおりに組付けていきます。ついでにロッドエンドのスフェリカルベアリングのガタが無いかをチェックしたら案の定ガタガタになっていました。これもベアリング内部のPTFEライナーの摩耗によりガタが生じるものです。下の写真はライナーが無くなってしまいインナーが欠損するという状態です。ここまで来るとかなり重症なので即交換が必要です。ちなみにAPTCOはちゃんとFK_RODのベアリングに交換しています。キングもFKを採用していますので。このベアリングにも種類があって表面処理が・・・これはまたの機会にご説明します。

これがごく一般的なオーバーホールの事例です。きとんと元通りに組み上げたら規定圧のガスを装填して完成です。

左がOH済、右は未OHです。写真で見ると1Gのサグ位置が黒くなっていて分かり易いですね。ちなみにショックシャフトの再メッキも承ります。硬化ハードクロームはもちろんマニアには堪らないゴールドやブロンズ、ブラッククロームの表面処理が可能です。FOXのカシマコートの色味とか憧れますよね。ご興味ある方は店頭にてご相談下さい。ショックの脇にあるのはトラクションアームです。ワンオフでドレスアップ用のアームですが作ってみました。

ショックのオーバーホールに併せて昨年からのご依頼分だったトラックアームをやっと納めさせて頂きました。お待たせしてすみません。

かなりライトなつもりがややライトヘビーな話に変わってしましましたが・・・

APTCOはこんな感じのSHOPです。リフトアップ目的で車高を上げるためにプリロードをかけるお店ではありません。当店は車高じゃなくてリバウンド側を伸ばすお店ですのでハイリフトとかボディリフトみたいなカスタムは苦手なのでお間違いの無い様にお願い致します。


いかがでしょう?安心してキングショックをご購入出来そうでしょうか?

兎にも角にもまずはご相談下さい。






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