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JEEP JK エンジン修理①

JEEP JK36Lに搭載されているPentastarV6-3.6LのEngine Service Procedureを備忘録兼修理事例の参考にノートしておきます。


ペンタスターエンジンはクライスラーやダッジ、メルセデスに広く採用されているエンジンで横置き、縦置きと様々な車種に搭載されています。日本国内では人気のあるJEEPラングラーに搭載されています。


今回のノートはエンジンのヘッド分解までの手順をご紹介しながらペンタスターではメジャーな故障事例を書き記しておきたいと思います。


まずはバッテリーのネガティブを外してからエアクリーナーやスロットルボディを外してインテークマニフォールドを露出させます。結構ハーネス類がピチピチなので手間はかかりますが出来るだけ外してフリーにしておきましょう。

この時点で故障原因につながるパーツ交換が出来るのは

イグニッションコイル、スパークプラグ、フューエルインジェクター、カムポジションセンサー(左右)でしょうか。



次にINTマニフォールドを外していきます。インジェクターのコネクターを外してフューエルレールも取り外していきます。この際にはレール内のガソリンが排出されるので留意しましょう。

ここではペンタスターエンジンのメジャーな故障修理の1つであるオイルフィルターハウジングからのオイル、クーラント漏れの修理が可能です。写真中央にあるオイルフィルターハウジングをアッセンブリーで交換します。実際にこの車両もクーラントが漏れていてVバンクのブロックに赤い液体が漏れ出ているのが写真で確認できると思います。



いよいよ次はLEFT BANKから分解していきます。まずはヘッドカバーから外していきます。ラジエターのアッパーホースやオルタネーター等を外した方が作業性は良くなります。

この作業手順はペンタスター特有の故障事例の1つでTIKING NOISEと呼ばれるカムローブの偏摩耗とロッカーアームの作動不良による金属音の発生とミスファイアの修理交換作業に必要なプロセスの1stステップになります。エンジンのアイドリング時にエンジンからカチカチ音が聞こえたりエンジンからの振動やアイドル不良でエンジン警告灯が点灯していた場合にプラグとコイル、カムシャフトポジションセンサーを交換しても症状が改善しない場合はこの左バンクの修理を覚悟しておいた方が良いでしょう。


弊社でも修理事例があるので参考までにご紹介しておきます。

まずは専用工具を使用してオイルフェーザーをロックして専用のTバーでチェーンテンショナーをフリーにして固定します。タイミングチェーン、オイルフェーザー、カムシャフト、ブリッジにマークをしておきます。

テンショナーの解除はフロントカバーが付いた状態でも上から作業可能ですがイマイチよく見えません。下の写真を参考にテンショナーのロック解除操作をしてみてください。L字の針金を使用してロックピンを引き上げてテンションを解除します。

チェーンのテンションが解除されたら慎重にフェーザーを引き出してチェーンを外します。

この時にチェーンが弛んでクランクスプロケットからチェーンが外れてしまうと大変な事になるのでテンションは常に張った状態にしておくのが得策です。下の写真は悪い例ですね。

カムホルダーを外していきます。INT(インテーク)EXT(エグゾースト)と番号、FRONT方向が矢印で打刻してあるので取り付けを間違えないようなっています。

ホルダーを外したらカムシャフトを外してジャーナルやカムローブの偏摩耗とロッカーアームとリフターを外してガタや変形がないかを確認します。


下の写真は実際に不具合のあった左バンクのEXT側のカムシャフトです。稀に見る削れ具合。。。ジャーナルも焼きが入ってます。INT側は大丈夫でしたがせっかくなのでINTも交換します。

このロッカーアームがダメダメでした。ローラーが上下にガタつく状態でした。

不具合箇所を確認したら通常であればカムシャフト、ロッカーアーム、リフターを新品に交換してホルダーを取り付ければ修理完了となる流れです。

規定トルク、締め付け手順を守って組み立てればひとまず完成です。

最悪の場合は下の写真の様にバルブステムが折れます。こうなるとヘッドを外して分解する必要があります。もしバルブが抜け落ちていたらシリンダー内が大惨事になっていたかと思うとゾッとします。

TICKING NOISEの修理は以上までとなります。後は元に戻すだけです。


しかし今回はもっと深いとこまで分解します。と言うのもエンジンのオイル漏れが日に日に酷くなり、クーラントが減り始めたので補充エア抜きをしていたらシュワシュワとラジエターキャップから泡を吹くという始末。下のシリンダー形状を見ての通りピストン脇にはウォータジャケットがあるという事でガスケット抜けの可能性があるという事でヘッドを外して再組み立てという事になりました。

ACコンプレッサーを外してEXTマニフォールドを外してヘッドボルトを緩めようとブレーカーバーに力を込めて回したらフロント側のシリンダーのボルトは抵抗なく軽く回ってしまった。これはおかしいと思ってガスケットを確認するとこんな感じに

ヘッド側は。。。痕跡がありました。

たかがガスケットと思うなかれ、とはこの事です。

フロントカバーとヘッドの接合部あたりからのオイル漏れもガスケット抜けの真横にあるオイルのリターンラインから染み出していたであろう事が判明しました。

目視で分かる原因で良かったと自分を納得させて新品ガスケットに交換して規定トルクと組み付け手順で確実かつ丁寧に組み上げていきます。

カムシャフトとロッカー、リフターを付けたらホルダーを規定トルクと組み付け手順で組み上げていきます。

これで左バンクは大体完了です。ざっと流してはいますが見た目よりも結構手間はかかります。


ここまでの作業が2022年の作業でした。次回は2023年正月の右バンクService Procidureに続きます。


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