ショックのブッシングとコントロールアームのブッシング交換作業を行ったので備忘録を兼ねてご紹介しておきます。
まずはFJのリアから異音がするとの事でKINGショックのブッシング交換依頼の作業です。
たまに質問されるのですが、ショックサービスをする際は必ずガスを抜くのですがショックを分解する前提の場合はリーザブタンク内のフロートピストン位置を考慮して車体からショックを外す様にした方が良いかと思いますのでNOTEしておきます。
今年はKINGのマウントブッシング交換の数が多かったです。2007年からはや17年も経過していればそりゃベアリングも交換次期を迎えますね。ウチでは5年経過したら交換を推奨していますが皆さん異音が出たりオイル漏れが起こらないと交換しに来ないというのが実状です。クルマを大事にするのであれば定期的にメンテナンスを心掛けましょう!
KINGが採用しているFKのCOMシリーズはボールもレースもSTEEL製なので経年劣化で酸化します。PTFEライナーもデブリや錆が入って摩耗するとベアリングの隙間が大きくなって異音が出るようになります。
オープンベアリングの宿命ですがこれをいかに長持ちさせるかが重要なポイントです。
FJの場合はショックのトップマウントがステムトップタイプでラバーブッシングでボディーにマウントしており、ロワーマウントがスフェリカルベアリングを使ったアイレットスタイルのブッシングになります。
ソリッドアクスルなのでタイヤが受ける衝撃がそのままロワーのベアリングに伝わるのでどうしても消耗が大きくなるところです。KINGに限らず普通のショックであればラバーブッシュにスリーブの入ったブッシングが一般的なのですがやはりラバーが経年劣化で硬化してひび割れたり、潰れてしまって金属スリーブがマウントに干渉して異音が出たりと同じ様に交換が必要になります。この場合はショック毎アッセンブリーで交換する事が多いです。
KINGやFOXの様にパーツ交換が可能なショックだとOHすれば機能は新品状態に出来るというメリットがあります。
ベアリングを使う部分はショックのブッシング以外にも数多く採用されています。
皆さんが良く思い浮かべるのはアッパーコントロールアームのオープンベアリングでは無いでしょうか?
DIRTKINGもTOTAL CHAOSもCAMBURGでもお馴染みのベアリングです。こちらはショックのブッシングとは異なってアームの上下動だけでなくハンドルの舵角による左右の動きも担うため、より大型で耐久性や強度の高い物を採用する事が多いです。
以前にFK RODの件をブログを書いた際に紹介したCHEVY SILVERADOのロングトラベルサスペンションのベアリングの打ち替え作業を行ったので備忘録を兼ねて紹介したいと思います。https://www.aptco.info/post/ボールジョイントメンテナンス:2
サスペンションはCWF OFFROADというマニュファクチャーでオーナーのジェレミーは元々CAMBURG出身のファブリケーターです。このキットは直接CWFを訪れてオーダーしてきたサスペンションで当時はインストールマニュアルなんて気の利いたものは無く、ジェレミーのシルバラードを見ながら写真を撮影しながら質疑応答でメモを取るという現地でマニュアル作りをするスタイルでした。当然ベアリングスペックはもちろんハードウェアのスペックデータシートもありません。そういう事もあって前回の分解作業で必要なスペックデータを取っていたという話の流れになるわけです。
このCWFのロングトラベルキットはややRACE寄りのコンポーネントやコンセプトで作られていて玄人向けのシステムです。何が違うか等はマニアックなのでここでは割愛しますが普段我々が目にしているDIRTKINGやTOTALCHAOSのサスペンションとは異なるパーツが採用されています。
自分もこの仕事をしてきて色々なサスペンションをインストールしてきましたがこのサイズのスフェリカルベアリングは初めてでした。ラスペネの缶より外径が大きいです。
これはロワーアームのベアリングなのですがFKのCOM24T(1.5インチボール)というサイズでレースカーのTROPHY TRUCKのアームにも採用されているサイズと同じです(レース用は更にハイグレードで値段も3倍くらい)
スナップリングも手持ちのプライヤーじゃ外せなくてデカいの買いました。
下の写真はCAMBURGのアッパーで採用されている16サイズです。CWFはFK AIN16T(1インチボール)を採用していました。AINシリーズはヘビーデューティカテゴリーのベアリングです。
ショックと違ってスピンドルとロワーアームに圧入されているので足回りは分解する必要があります。ロワーの圧入は一苦労です。スナップリングが固くて縮めるの大変でした。
アッパーのベアリングは小さいから比較的楽に打ち替えできました。
リフレッシュ完了です。お掃除して錆を落としてリペイントして完了です。
この写真の中だけでユニボール6個、ヘイム2個と合計8個のスフェリカルベアリングが採用されていますね。
バンプストップが何故こんなところに付いているのか?疑問に思った人は有料BLOGので謎が解けますのでタバコ1箱我慢して読んでみてください。
最後にユニボール(スフェリカルベアリング)が指で簡単に回せて下の写真の様にクルクル回せる様なら交換時期という目安になります。新品の状態はプラハンでガンガン叩いて微動してくれるレベルです。
もう一回言っておきます。ベアリングは5年くらい毎に交換しましょう。