STEERING RACK ROD FIX
- APTCO HQ
- 6月17日
- 読了時間: 5分
更新日:6月19日
今回はステアリングラックのロッド交換の作業ログとステアリングのアップグレードについてお話をしたいと思います。
アクシデントによりラックのロッドが曲がってしまったためロッドを交換する作業になります。

曲がってしまったロッドを外すためにまずはタイロッドエンドを外します。

ラックブーツを外してからSSTを使ってラック側のジョイント部を緩めて外します。

この時点でボールジョイントにガタつきがありました。交換時期としてはリフレッシュするのにちょうど良かったのかも知れません。

新品と比較するとこんな感じです。ボールとカップのクリアランスが大きくなっていたため自立保持出来ないくらいフニャフニャでした。新品はまだガッチリしていて曲げるのに力が必要なくらい硬いです。

逆の手順で組付て行きます。ラック側には緩み止め剤とロックワッシャーを曲げて緩み防止の対策をしておきます。

ここまでが純正ステアリングの構造と付属のエクステンドシャフトによるリンクになります。
ここからが本日の本題です。
ラック&ピニオンで大径タイヤを装着してるオーナーさんやロングトラベル化している車両のオーナーさんは是非ご注目ください。
ミドルサイズで35”以上、フルサイズで37”以上の外径にサイズアップしている車両についてはタイロッドエンドのボールジョイントやステアリングラックシャフトへの負荷がかなり大きくなっている事はご存知かと思います。(ミドルはタコマやハイラックスにFJやプラド等、フルサイズはタンドラやセコイア、LC200-250-300等です)
ストリートオンリーのドレスアップ重視という方はさほど危惧することはありませんがダート走行を楽しみたいエンスージアストの皆さんにはステアリングのグレードアップをオススメしておきたいと思います。

ダートを気持ち良く流している際に突然***ガリーにタイヤを落としてしまい思いっきりハンドルを取られるような強い衝撃を受けた際に極稀にですがラックロッドが曲がってしまいハンドルの角度がずれてしまう事があります。もっと酷い事例は純正ロワーアームと2.0"ショックのレベリングリフトサスペンションで同じようなガリーやラットセクションを走り抜けた結果ハンドルセンターがズレてしまいアライメントが一発で狂ってしまう症例もあるくらいです。初期入力でバンプに当たって車内の荷物が一斉に宙を舞う異世界体験が可能です。

これは有名な話ですがトヨタの場合はそこそこ本気でオフローディングを楽しみたい人はフレームにガセットを入れるのが当たり前でストック状態で走り回るとフレームが変形するというのが常識で、実際にウチでもそういった事例が過去にありました。(***ガリーは雨の侵食で出来た深い溝、浅い溝はラッツ)ちなみにLT化しないでジャンプしたりするともれなくLCAのピボットが変形してしまったり、ラダーフレームにクラックが入ったりします。
下の写真で分かるように純正のラックロッドはか細くて見るからに曲がりそうですよね。
LTの場合はエクステンションスリーブをタイロッドエンド側に装着して全長を伸ばすのですがこれは太くて頑丈な分ジャムナット部分の細い箇所に応力が集中するため大径タイヤの場合はここがウィークポイントになってしまいます。

という理由からPRERUNNERをはじめとするオフロードカスタムやBIG RIG系のカスタムにはステアリングのロッドリンクを強化する事が多いです。
PRERUNNERを製作する際にロングトラベルサスペンションに換装する内の1つのオプションメニューとして必須項目となっておりステアリングロッドをHeim Jointにするのが一般的です。ドレスアップカスタムには必要無いですが、走りを重視する人はステアリングへイムはマストです。
下の写真がHeim Joint化したステアリングラックのエンド部です。違いが分かるでしょうか。ロッドは4130クロモリチューブでHeim JointはFKのJMXを採用しています。

ご存知の方もいるとは思いますがここちらがHeim Joint = Rod Endです。

上のHeim Jointにミスアライメントスペーサーを取り付けて下の Steering Clevis(ステアリング クレビス)に装着します。

ステアリングラックエンドは車種によって異なるのでClevisも車種専用設計の物がマニュファクチャーから販売されています。

Heim to Heimの構造になるためナックル側も当然Heim Jointになります。

今は市販のSteering Heim Kitとして車種毎に販売されているのでそれをチョイスするのも良いと思います。APTCOの場合はコイルオーバーショックやCVアクスルの関係でレイアウトが変わったりするので基本的にはClevis以外はワンオフで製作する事が多いです。
下の様なステアリングのダブルシェアキット等を装着する際も専用のステアリングロッドを設計する必要があるのでワンオフ製作が必然となります。

フロントのトラベル量に合わせてHeim JointもハイミスアライメントのHRSMXを採用する事も可能です。要はHeim Joint自体も自分好みにチョイス出来るのがワンオフの良いところです。

大径タイヤの皆さん、そろそろロッドエンドの交換が必要な皆さん
この機会にステアリングリンクをHeim Jointにアップグレードしてみてはいかがでしょうか。