ランドクルーザー200のサスペンションインストール事例です。対象車種はKDSS搭載モデルでKINGの3.0ショック前後とTotal Chaosのロワーアーム、Old Man Emuのリアスプリング交換を実施しました。
LC200自体はもちろんKDSS付きの車両のサスペンション交換は初めてです。トヨタのフルサイズとしてはタンドラやセコイアで経験があるのでLC200もおそらく同じ感じであろうと予想をしつつKINGのインストールマニュアルを読んでKDSS車の注意点を確認しながら作業開始です。そもそもKDSSとは何ぞや?という人も多いと思うので軽く触れておきましょう。
簡単に言うとハイドロリックシステムによって舗装路ではスタビライザー効果を有効化し、オフロードではスタビライザー効果を無効化するセミオートマティックなシステムです。前後のスタビライザーにハイドロリックラムが装着されていて前後のタイヤのストローク量に合わせてスタビライザーの可動範囲をハイドロを使ってストローク増減させるシステムです。現在はオンデマンドでON \OFFが可能な電気制御のE-KDSSや最新型のSDMというシステムが採用されています。LC250にはSDMが搭載されていてある界隈では話題になっていました。せっかくなのでSDMのメカニズムについても勉強しておきましょう。
舗装路全般や高速道路での車体のロールを抑制するには確かにスタビライザーの恩恵はあると思います。特にSUVは車両の車両の重心点(SOG)が乗用車に比べて高い位置にあるので高速コーナー等では車体のロールが大きくなる傾向があります。デフォルトのサスペンションは街乗り重視のスプリングレート、ショックのトラベル量、ショックのバルビングだと前提して考えればスタビライザーバーによる左右のサスペンションのコンプレッションとリバウンドを抑制する事は姿勢制御に大きな効果があるという事を認識しておきましょう。
インストールマニュアルによると車体をジャッキアップする前にKDSSのワンウェイバルブのリリーフボルトを緩めて油圧をフリーにさせてからリフトするようにとの事で左リアドアのシャーシ裏にある2つのハイドロリックラインのバルブを3回転緩めます。3回転以上緩めてしまうとオイルが漏れてエアー噛みするそうなので緩め過ぎに注意が必要です。
車体をジャッキアップして前後タイヤともフルドループの0G状態にしてありますがワンウェイバルブをフリーにしているとは言えめちゃくちゃ硬いのでボトルジャッキを駆使して上下動させました。
ハイドロリックラムは前後ともパッセンジャーサイドに装置されていてフロントはこんな感じになっています。前後のラムに油圧ホースが2本繋がっています。
サスペンションの分解に入ります。イメージ的にはタンドラ/セコイアの足回りと同じ感じです。TCのアームがデカイそして重い、そしてピボットマウントが変形してすんなりアームのブッシングが入ってくれない。タンドラ、タコマ、セコイア、FJとすんなり入った記憶が無いくらいストレス指数が上がるポイントです(社外LCAをインストールする際の話です)。
KINGの3.0"コイルオーバーをマウントするのはRAPTOR以来です。これがまた重くてですね・・・雄叫びを上げながら片手でショックを保持してもう片方の手でコイルバケットにショックを差し込んでナットで締めるというワンマン作業にはタフでマッチョな試練でした。コイルオーバーはすんなりと装着出来ないためバンプストップをデリートしています。
最近HILUXやTACOMA、FJとミドルサイズの脚しか触っていなかったのでフルサイズクラスの洗礼を久々に受けました。ブレーカーバーが弓形にしなるハイトルク締めの連続で上半身の筋肉がパンプアップされた気がします。UCAとLCA、そしてKINGショックは絵になりますね。自己満足が過ぎる。
リアサスペンションはオールドマンエミュのヘビーロードスプリングとKING3.0"IFPのスムーズショックのインストールです。コチラはいつもの5リンク構造なので作業は簡単と予想していたのですがリアショックのトップマウントのステムナットの位置がトヨタT100同様にすごく外しづらい場所にあって精神的ダメージを食らいましたが無事IBPオーナメント付きのリザーブタンクを鎮座することが出来ました。もちろん3インチなので重いです。
前後ともにガス圧がオーバーチャージだったのでデフォルト値に調整しておきました。
実質車高はフロントが2.5インチ程度、リアが2インチ程度のリフトアップとなりました。
STOCKと比較するとリフトアップの影響で見た目の迫力が増してオフローダー仕様になったという印象です。これぞランドクルーザー!という感じですね。
オーナーさんはオフロードエンスージストなので更に煮詰めていきたいという高いモチベーションを持った方なので今後も進化していく模様です。
という事でKDSS車のサスペンション作業の備忘録兼レポートでした。