LC200のKING OEM SHOCKのショックサービスになります。
コイルのスペックは14”-600LBSでプリロードは1”のセッティングです。
特にオイル漏れ等がある訳ではないのですがせっかく分解するのでシール交換も追加でスプリング交換とブッシングの打ち替え作業を実施しました。

APTCOでは分解前にショックの現状データを計測してチェックシートに記載します。
自分のショックのスペックを知っておくのも良いと思うのでリクエストがあればPDFでデータシートをお渡しする事も可能です。
ロワーブッシングは摩耗が酷かったのでロッドエンドからは外して状態を確認すると下の写真の様に深い傷と焼き付きの跡がくっきり残っていました。

このベアリングはアップグレードのモデルもあるので打ち替えの際にご相談ください。オフロード走行をする方にはお勧めです。

スプリングを外してショックボディーの分解をしていきます。初のLC200はディグレッシブピストンだという事を初めて知りました。この黄色いピストンが目印です。ディグレッシブはプログレッシブの反対でJEEPラングラーやBRONCO等のトレールやクロール系の車両には標準装備されている様です。

コンポーネンツ毎に分けてまずは各パーツを洗浄しながらOリングやシールを交換していきます。

ショックオイルはこの様になります。新油との違いがよく分かりますね。

ディグレッシブのシムスタックは初めてなのでデータ取りを兼ねてお勉強です。シムも1枚1枚寸法を計測してデータ取りを行いながらクリーニングします。
せっかくなのでディグレッシブ用のピストンとスタンダード(リニア)なピストンの違いを比較してみましょう。

PERFORMANCE RACEシリーズに採用されているピストンです。PURE RACEがプログレッシブになるならこちらはリニアピストンになるのかな。

ディグレッシブには口径の大きいBLEED HOLEが3つもあることが分かりますね。
ディグレッシブとリニアとプログレッシブの違いは下のダンピングカーブのグラフをご覧ください。

簡単なイメージとしては路面の凹凸に対してディグレッシブはショックの動きが緩慢でロースピード向け、プログレッシブはショックの動きが俊敏でハイスピード向け、リニアはその中間でバランスが良い感じです。どちらも短所長所がありますがショックの特性と走りの目的が合致していれば良いのかなと思います。あとは自分好みにチューニングするのが醍醐味だと思います。
シールカップのシールをリフレッシュしたらシャフト側のコンポーネンツを組み上げて新油を入れてショックを組み上げていきます。

外装だけでなく中身もリフレッシュしましたね。スプリングを組んで希望のプリロード値に調整したらガスをチャージした状態でオイル漏れやガス抜けがないかを24時間置いてチェックしたら完成です。

新しいスプリングを組みつけて車高や乗り心地がどうなるかオーナーさんからのレポートが楽しみです。理想のバランスになることを期待しています。

最後にKINGやFOXのコイルプレートのロックボルトを緩める際にMetricのHEXで緩めようとしてキャップボルトの穴をナメた状態のショックが最近チラホラと見受けられます。このキャップボルトはインチ規格なので必ずインチのHEXを使うようご注意ください。
時代の進化のおかげで最近は3D-CADでカスタムオーダーのショックの完成イメージをレンダリングでご確認頂けるようになりました。OEMショックをチューンしたい方やPRシリーズへアップグレードしたい方、メンバーダウンリフトにマッチするショックをオーダーしたいオーナーさんはお気軽にご相談ください。
