サスペンションを既にモディファイしている方やこれから作業を行う予定の方は目を通しておくと良いかもしれません。
ユニボール、スフェリカルベアリングと呼称されているボールジョイントについて自分の知り得る知識をご紹介したいと思います。
APTCO創立から刻は過ぎて17年前に装着したユニボールUCA(アッパーアーム)やOEM KINGを装着していたクルマ達の現在は一体どうなっているのか・・・ゴリゴリのまま乗っているのか、どこかでちゃんとリフレッシュしてもらったのか気になります。
以前LC150のOEM KINGのブッシング交換の際にも書きましたが
オープンタイプのユニボールはメンテナンスが必要ですしオーナーの扱い方や使用環境、無理なリフトアップによる負荷等でもボールジョイントの交換サイクルも早くなります。ましてやフルサイズクラスとなれば37インチ外径のタイヤを履かせている訳ですから尚更の話です。
今回の車両は中でもユニボールやヘイムジョイントを多用している特殊なサスペンション構造のクルマなので点検と注油箇所の説明をご紹介したいと思います。
ダブルウィッシュボーンタイプの2WD車なのでCVアクスル等が無い分メンテナンスはしやすいです。
まずはアッパーアーム側のユニボールから見ていきます。この車両は少々特殊でボールジョイントはナックル側に圧入されています。UCAのピボットブッシュ(車体にUCAを取り付けている箇所)もヘイムジョイントを使用しています。それぞれ分解をしてボールの動きやガタをチェックします。
これがヘイムジョイントです。簡単に言えばオスメスのネジがついているユニボールジョイントという認識で構いません。後ほどステアリングタイロッドでも出てきます。
新品の状態だと指でボールが回るなんていう硬さではなくてプラスチックハンマーでガンガン叩かないとボールが動かないくらいの固さです。上の写真はほとんど力を入れることなくスムースにボールベアリングが回転してしまいました。
何故このようにクルクルと回ってしまうのかというと上の写真の黄色文字の箇所のPTFEライニングが摩耗してしまうからです。PTFEとは定期給油の要らない自己潤滑性能のある耐摩耗性、耐熱性、絶縁性に優れたポリテトラフロロエチレンの頭文字です。
PTFEはグリースやオイル、水分等で膨潤する性質があるそうで異常摩耗の原因になりうるそうです。ここでWAKOSのバイタスドライの重要性をご理解いただけると思います。
おそらくですがPTFEを潤滑させるのが目的ではなくてボールベアリングの表面を保護潤滑させるという認識の方がPTFEライナーの摩耗性を減らす事ができる事になるのだと思います。
続きましてロワーアーム側のユニボールの点検です。あるべきはずのCクリップが吹っ飛んでいてベアリングカップからユニボールがハミ出していました。
取付の構造的にユニボールが抜け落ちることは無いのですがこういったズレがステアリングに影響したりするので定期的にこういう点検は必要ですね。
1.5インチのユニボールは滅多に使わないサイズでしたがクリップの在庫がたまたま1個だけあって良かったです。1.5インチなんてトロフィートラックサイズですよ。
結局ロワーアームのユニボールも指でクルクル回るくらい摩耗していたので交換推奨でした。
ステアリングのラック側もヘイムスタイルに交換しているのでラック側ナックル側も動きをチェックします。
ラック側はまだしっかりしていましたが動きが多いナックル側は摩耗が大きくて早めの交換が必要かなと思いました。
以上のようなスフェリカルベアリングを採用しているクルマに乗られている方はボール部の汚れを吹き上げてなるべくクリーンに保つという心がけを持つとPTFEも長持ちするのでは無いかなと思います。
是非メンテナンスの参考にしてみてください。
ハンドルを切るとギギギとかミシミシ音がしたら要注意です。
最後にまたWAKOS バイタスドライをお勧めしておきます。